memories 13 【Lucky13】
私の体験を綴ります。30年以上、もっと前の話。こちらは1999年〜2004年頃に私が運営していましたホームページからの転載です。当時【episode】として掲載してましたが【memories】の方がしっくりくるかと。
【Lucky13 】
大きく口を開けて、欠伸でもしているのか?
愛嬌のあるプラグだという事は間違いない。
当時のフィールドにこんなに大きいプラグを投げる人はいなかった。僕も同様にLucky13を使わなかった。
僕らの仲間内でも、Heddonと言えばBabyサイズが主流で、常識だった。
Zara SpookもLucky13 と似た境遇だったけど比較的使う人は多かった。扱い易いアクションで、規則正しく左右に首を振ってくれたからまだ使い易かった。
それに比べてLucky13 は不良品か欠陥品と思えるくらいアクションをしなかった。“使い手の思うように動かない。トップウォータープラグのくせに潜る。”
ノイジー、スイッシャー、ペンシルベイトは僕らにとって非常に判りやすい決め球を持っていたが、Lucky13 はそれが何なのかさえ理解出来なかった。
僕らはLucky13 には派手な必殺技が無いと感じていたのである。しかもキャストを繰り返し、人よりも沢山のバスを釣りたかったからLucky13 では手返しが悪く、効率が上がらないと思って遠慮がちだった。
当時のフィールドで。
2時間もあれば一周出来てしまう野池。それでも沢山のバスが釣れた。
そんな小さなフィールドではあるけれど、Lucky13 を使ってバスを釣る人を見かける事があった。
赤い頭のLucky13 を使うその人はたまに見かける程度だったし、どちらからも話しかける事は無かった。
何が面白くてあんなプラグを使うのだろうと考えた。Heddonのプラグである。きっと奥が深く、そのうちにわかる時が来るのだろうと。
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10年くらいはペンシルベイトやスイッシャー、ポッパーを使い続けてきた。それもBabyサイズのプラグが多かった。
それなりにバスを釣る事は出来たが、物足りない何かがあった。
ある時、たまたま結んだLucky13 に小さいけど元気なバスがヒットした。
その日は朝から釣れなくてキャストするのにも力が入らなく、ついには色々なプラグを動かして楽しむ事にした。
程なくして懐かしいプラグ達が、心を和ませてくれた。
このまま釣れなくても充分楽しいと余裕ができた時にLucky13がバスを連れてきてくれた。
イメージしていたアクションをしてくれた時にバイトがあった。
時々、こちらの云う事を聞いてくれてバスを誘惑する奴。
操るのが難しく、不器用な気分屋。必殺技の無いヒーロー。速いテンポでは動かしにくい、おっとりとした怠け者。
彼等は私に「のんびりキャストしなさい。」と囁いている。
「風景や生き物の声を感じ、フィールドの全てを愉しんで」とも。
©︎ 1999 yukkylucky13