memories 3 【対岸での出来事】
私の体験を綴ります。30年以上、もっと前の話。こちらは1999年〜2004年頃に私が運営していましたホームページからの転載です。当時【episode】として掲載してましたが【memories】の方がしっくりくるかと。
【対岸での出来事】
いつものT池での事。
自分より一つか二つ年上と思われる人が対岸にいた。小さな池の事なので対岸といっても、お互いに向かい合わせにルアーをキャストすれば、なんとか届く距離だろう。
その人は黄色い大きなトップウォータープラグを使っていた。
トップウォーターでバスを釣った事はあったが、その人かどんな風に釣りをしているのか気になり、しばらく様子をうかがうことにした。(悔しいので気付かれない様に)
その人はキャストしてからが凄かった。(今は理解できるけど、当時の僕には不思議たった。)
キャストしてプラグが着水した後、いつまで経ってもアクションさせないのである。1分程してからやっとワンアクション。
で、………動かさない!?ポーズを取ってる!!
さらに1分程してからワンアクション。今度のポーズはもっと長い!
そんな繰り返しでキャストしてから次のキャストまで10分以上時間をかける。
焦れったい。
特に目立つ物も無いポイントを狙い続けて、何回かキャストしていた。
”効率が悪いなぁ”と思った。他のポイントは気にならないのだろうか。
5回目か6回目のアプローチで、変化が起きた。
相変わらず、スローなストップ&ゴーを繰り返していた大きなプラグが派手な水飛沫と共に宙を舞った。
魚の尾ビレで弾かれるのが見えた。かなり遅れてフッキングしたから、プラグは虚しくその人の方に飛んで行った。
その人は気落ちしたのか、暫くその場を動かずにじっと水面を眺めていた。
5分程経ってから気を取直してか、同じポイントにキャスト。またスローなアプローチが続く。
そして来た!今度は魚の方が空振り。
プラグはそれ程移動していなかった。ポーズが続く。次のアクションでまた派手なバイト!!
フックアップしたらしい。やり取りが続く。
そして。
大きいバスだった事は覚えてる。
それ以上に、大きなプラグの繰り返されるスローなアクションが印象に残った。
後に、その人とすれ違った時にラインに結ばれていたプラグを見た。
今は、それほど大きいとは思わないけど、偉大で愛嬌のあるプラグ。
©︎ 1999 yukkylucky13