雑記 6【センス】
私の主観です。
【センス】
随分と前の話です。西暦2000年問題の頃。
管理釣り場でフライフィッシングに挑戦してみようと、友人と共に出掛けました。
と言うより、当日は友人と私の2人でバスのトップウォーターフィッシングをしていたのですが、あまりにも釣れないしバイトも無いので、話の流れから今日は切り上げてフライをやってみようと言う事になったのです。
釣りをしていた場所から、一番近い管理釣り場をカーナビで探し、野池風の管理釣り場に到着しました。
始めに管理釣り場のスタッフの方に僕等がフライフィッシング未経験である事と、道具も無い事をお伝えしました。管理釣り場のマナー等をお伺いし、道具は格安でレンタルさせて頂きました。また、僕等にとってはラッキーな事に当日は他にお客さんがいなかったのでご年配(失礼)のスタッフの方がレクチャーして下さる事になりました。
対象魚は主にニジマス、ブラウントラウト、その他様々な種類がいるという事でした。友人と2人でワクワクしながら真面目にレクチャーを受けたのです。
まずはキャスティングです。結論から言うと僕はまるで駄目。フライとリーダー、フライラインがクシャクシャになって水面に落ちます。前に飛びません。スタッフの方に「手首を曲げずに頑張って」と言われるのですが、なかなかに難しい。
友人の方はと言うと練習の後、とても上手にラインを操っていて「フライから先に水面に落としてみて」とスタッフの方に言われたら、その通りに直ぐに出来たのです。
センスの良さ感じましたね。
友人はコツを掴んだようでスタッフの方が言われる場所にフライ届ける事が出来るようになってきました。
そうそう、その時ティペットの先端に結んでいたフライはドライフライでしたが、どのようなフライだったかは忘れました。
スタッフの方が管理釣り場の魚達に餌を与える為にバケツに鯉の餌っぽい物を入れて持って来ました。
「一斉にライズが始まるから餌を撒いた所にフライを投げ入れて」と、合図と同時に餌を水面に蒔きました。程なく一斉にバシャバシャとライズが始まりました。ここにフライを投入すれば、簡単に釣れるという訳です。
ところが悲しいかな僕は何回かチャンスを貰ったのですが、フライがライズの中に届く事はありませんでした。反対に友人は一発でライズの中にフライを投げ入れニジマスを釣り上げました。
センスって怖い。やだ。
スタッフの方が、キャストの下手な僕にだけ沈むフライとアタリが分かるように目印の付いた仕掛けを持って来てくれました。今いる桟橋の真下に落とせば釣れると言うのです。
キャスト無し。まるでエサ釣りみたいで嫌だけど、スタッフの方が釣りにならない僕の為に用意してくれたのです。僕は頑固なトップウォータープラッガーですが、今日は素直に従います。
早速、言われた通りに仕掛けを投入しますと程なくアタリが。
隣でスタッフの方が一緒になって僕の仕掛けの目印を見てくれてましたが、目印は動かなくてもっと先のラインの沈む速度が僅かに遅くなったのでアタリだと判 断しました。間髪いれず合わせると結構な引きの強さでした。桟橋の橋脚にラインが擦れるか巻き付く危険があったのでロッドワークで魚を橋脚から離しました。
しばらくのやり取りの後、スタッフの方がランディングネットでキャッチしてくれたのは50cm少し超えるニジマスでした。
その時は単純に嬉しかったのですが、スタッフの方の一言で更に嬉しくなりました。
「アタリあったの?」
「えぇ、ラインが少し動いたので…」
「あなたのキャスティングは不細工だけど、釣りのセンスはあるね〜」
センス? 僕に? 有りますか!!
もっと言ってもらって構いません!!
ん、不細工は余計です。と、ちょっと褒められるとすぐに調子にのるのが僕です。
そんな人生で初めてのフライフィッシングでした。
僕に釣りのセンスがあるかどうかは分かりませんが、釣り人それぞれに得意、不得意があるのは理解できます。
一般に釣りなどの趣味は、得意な部分を生かして楽しめば良いのでしょう。
技術、体力、観察力、洞察力、判断力、集中力、継続、想像と創造、模倣、美的感覚…。
その上で不得意は練習や勉強、習慣などで得意に変える事が出来れは素晴らしいことです。さらにその練習や勉強をも楽しめれば、より良い事だと思います。
ところでセンスって何?
少し調べてみると、釣りの場合はこんな感じ。
“技術の上達が早くて、(新しいチャレンジであっても、)状況に応じた適切な判断が出来る事。”
うーん。これだと僕はセンスが無い事になる。