memories 10 【一目惚れ】
私の体験を綴ります。30年以上、もっと前の話。こちらは1999年〜2004年頃に私が運営していましたホームページからの転載です。当時【episode】として掲載してましたが【memories】の方がしっくりくるかと。
【一目惚れ】
ザラゴッサを買うつもりでいた。カラーは黄色い奴。(’84 Smith Zaragossa jr so)
友達の友達が黄色いザラゴッサを持っていると知り、僕の方から少し見せて欲しいとお願いをした。
すると友達の友達君は、しばらく貸してくれると申し出てくれた。僕はありがたくお借りする事にし、その日から毎晩ザラゴッサを眺める事になる。
1週間後にザラゴッサを友達の友達君にお返ししたら、ザラゴッサの事が気になってしょうがない。
もう絶対に買うと決めた。手が届かない価格では無い。こういう時は、友達の友達君とは違うカラーを選ぶんだろうけど、黄色いザラゴッサは見せてもらった瞬間から僕にとってThe Bass Lure だった。
当時の僕はヘビーザラを一日中投げ倒していた。そんな事だから、ザラという名を冠したプラグのルーツであろうザラゴッサにはとても魅力を感じていた。
手が届かない価格では無かったが、当時はプラグを手に入れる為に、働いてはいけない年齢だけどちょっとしたアルバイトもした。田舎の塗装工場の薬品の匂いは、僕のプラグへの羨望の記憶。
遂に手に入れる事が出来る日。
いつものショップで困った事がおきた。
ザラゴッサの隣に美しい曲線のボディーフォルムをしたプラグが並んでいたのである。
S.O.S ウーンデッドミノー。
Heddonのプラグで、日本のメーカーがオーダーした復刻品。一目惚れだった。すぐに手に入れたかった。ザラゴッサに対する熱い思いとは別に、目の前に飛び込んできた未知のプラグへの期待感、その斬新さ。
3時間以上、悶々としていたと思う。
ウーンデッドミノーは最後のひとつだった。ザラゴッサは沢山あった。でも、どちらか1個しか買えない。
ショップの店長はザラゴッサを勧めてくれる。ショーケースの上にふたつのプラグを並べてくれて、ゆっくり選んでと半ば諦め気味。もしかしたら、僕の後ろにウーンデッドミノーを欲しがっている人がいたかも知れないのに。
ザラゴッサは今回は見送る事にしよう!
結局はウーンデッドミノーを購入する事にした。
決め手はやはりその美しい曲線。そしてHeddonと日本のメーカーのプラグに対する想いも少しばかり手にする事が出来た気がする。
ゆったりしたアクションでバスを誘惑し続け、今でも活躍してくれているプラグに感謝。
およそ、1年後に黄色いザラゴッサもタックルボックスの仲間入りを果たす。
©︎ 1999 yukkylucky13