Oikawa Fly Fishing

小さくて美しい、偉大な魚をドライフライで狙います。 たまにTop water bass fishingも。

memories 12 【憧れの地】

私の体験を綴ります。30年以上、もっと前の話。こちらは1999年〜2004年頃に私が運営していましたホームページからの転載です。当時【episode】として掲載してましたが【memories】の方がしっくりくるかと。

【憧れの地】

琵琶湖の東側、私が西の湖に初めて訪れた日の事。

 その時でも西の湖の全盛期は過ぎていたと思うけどとにかく憧れの地であった。

 

シャローフラット、巨大な水溜り。そんな第一印象だった。

隣接する貸しボート屋さんで船外機付きのボートを借りて釣りをする。

狙えるポイントは、葦際、葦のポケット、杭周り、棚周り、エリ周りなど。

バリエーションは少ないが、葦原は永遠に続くのではないかと思うほど量が多い。

 

当時は【Baby Zara】や【Baby torpedo】などがメインでたまに【ビックラッシュ】【ハッピーモール】【コッキービートル】なんかの“お宝”プラグを投げていた。

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葦際にプラグを投げるのは楽しかった。

狙い通りにキャストが決まると釣りになるが、プラグが葦の奥まで行ってしまうとポイントを荒らしてしまう。

それが楽しかった。

 

鳥や蛙のコーラスを聞く。

風に揺れる葦の擦れ合う音を感じる。

 

 

昼過ぎから釣りを開始して、それなりにバスをキャッチしていた。このまま終えても充分満足だったが夕方にクライマックスがやってきた。

 

べた凪の鏡のような水面。

 

ここ西の湖まで連れて来てくれた同行のNさんが操るオリジナルプラグ。

 

1ozを超えるペンシルベイト。

 

夕焼けの映る湖面。

 

リズミカルなアクション。

 

プラグが創る軌跡。

 

「………来そうやね」 小さな声。

 

突然、水面が割れ辺りに水飛沫が散る。

 

今までに見たことのない想像を遥かに超えるバイトだ。

ロッドが絞り込まれる。

 

 

 

 

 

程なくして、プラグだけが水面に浮かんできた。

お互いに顔を見合って笑う。

満足だった。

やってる方も、見ている方も。

 

 

風景に溶け込んだシーンを今でも忘れる事はない。

憧れの地は微笑んでくれた。

©︎ 1999 yukkylucky13